《弦レビュー》DYNAMO/有吉幸乃さん
プロのオーケストラで活躍中のヴァイオリン奏者、有吉幸乃さんが弦のレビューを書いてくださいました!(ありがとうございます!!)
『初めてDYNAMOの弦を弾いた時に、同じくThomastik社から出ている代表的な弦<ドミナント>にとても似ていると感じました。
明るい音色、ドミナントの特徴である張り替えたての金属的な音色、フォーカスされてるというよりは倍音の多い弦。
Thomastik社が公開しているチャート表からは
・ドミナントより明るく
・響きが集中(focused)されているのと、響きが多い(broad)のを両方兼ね備えていると読み取れます。
概ね表の通りだと考えますが、自分や周りはだいたいVISIONやRONDOなど、純粋(clean)で、フォーカス寄りな音色の弦を使用していることが多く、そこと比べると本当に倍音が多く、そして複雑(complex) な音色の弦だと感じます。この辺りはとてもドミナントに似ています。
しかし張り替えて1週間ほどしてから急激にドミナントとの違いを感じました。
公式ページにも書いてありますが、ダイナミックレンジと音色がとにかく幅広いです。そしてその幅広さを出しやすいと感じました。
ただ、他のトマスティーク社のPeterInfeldやRONDOと比べるとバリバリ鳴るとは言い難いです。
弦のテンションはドミナントに比べて高く(※A線以外)、そのせいかレスポンスの良さ、張りの強さを感じます。ただドミナントほどの左手の滑らかさはありません。しかし他のテンション高い弦と比べれば、格段に左手は弱い力で押さえられます。
ドミナントの進化版と言われている<ドミナントプロ>よりもテンションが高いです。
ドミナントプロよりはフォーカスされていないと感じますが、張りの強さやレスポンスの良さを感じ、なおかつ倍音を多く感じられるという、個人的にはドミナントプロの進化版という感じです。
そして気になる寿命ですが、ドミナントよりも長いです。
1ヶ月は余裕です。
むしろ1ヶ月経った方が良い音がすると感じます。
1ヶ月半経った今まだ劣化を感じないでいるので、寿命の長さにも期待できます。
欠点を挙げるとすれば、値段が高すぎることです。ドミナントの2倍以上します。
この弦はどこかに特化した弦というよりはオールマイティにいろんな場面で使える弦だと感じるので、ソロではエヴァなど強い(テンションの高い)弦が良い!と思って使用している人にとっては物足らず、より高い値段を出したくないと感じるかもしれません。
ただ、高い値段を出して試してみる価値は充分にあります。
きっと、自分の中での弦の可能性が広がることと思います。』